感想&突発小話

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こうふくの定義
リョ菊。


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「うちの親父、プロのテニスプレイヤーだったんすよね」
突然自宅を訪れてきた後輩は、唐突にそんな事を言い出した。

玄関の扉を開けた状態のままだった俺は、
その後輩を家に上げるか自分が外に出るかでちょっと迷う。
が、相手がその場を動く気配が無いので、
突っ掛けを履いたまま後ろ手に扉を閉める。

後輩―俺が「おチビ」と呼んで可愛がってた、部活の「元」後輩。
全国大会も終わって、俺達三年生は引退してしまった。
けれど一年生の越前はまだまだテニス部で猛練習中の大活躍中で、
今も、レギュラーのみが身につけることを許された―わかり易いけど結構残酷なシステムだよね―ジャージを着てテニスバッグを肩に掛けている。
…あれ? でも皆、帰るときは制服に着替えるもんだけど…
まあ、俺もまだ制服のままなんだけどさ。

考え込んで、黙ったまま傍に寄った俺をじっと見つめ、
越前は少しの沈黙の後続けた。
「結構若いうちに引退しちゃったんスけど。」
「…知ってる」
現役時代は知らない―手塚と真田は憶えてるみたいだ―けど、
無敗の伝説は聞いている。
月刊プロテニスの井上さんなんか未だに心酔してるそうだし。
「今は俺と打つくらいでしかテニスしてないんスよね。
信じられないことに」
「おチビテニス大好きだもんね〜」
プロにまでなったお父さんが、あっさりテニスを辞めたことが
信じられないんだろう。
俺がウンウン頷くと、越前は黙って見つめてきた。
「…なに?」
「……いえ。
そっす。テニス、大好き、っすね」
「? うん」
「…でも親父、今でもお気楽極楽に過ごしてるんですよね。
遊びでしかテニスできなくても、困った事でもないみたいに」
「ふぅん?」
「今までその理由が良くわからなかったんスけど…
…いや、母さんから聴いて知ってはいたんスけど、わからなかった」
「……へぇ」
「親父、俺にテニスを教える事を新しいでっかい夢にした、って。
そんなもんかと思ってたけど、多分それだけじゃない」
「それだけじゃない、って?」
そもそも、何で越前は俺にこんな話をしてるんだろう。
お父さんの話なんて、今まで聞いたことがなかったのに。
「母さんと、…まあついでに俺もいるから、
テニスが無くても幸せでいられるんじゃないかって」
「……
えっと、おチビ?」
ずい、と顔を近づけてくる。
下から、見上げるように。
俺からしたらまだまだ「おチビ」ではあるけど、
初めて逢ったときより、その差が縮まった気がする。

「逆に俺は、テニスがあっても、
今ちょっと幸せじゃないんスよ」
「へ、へぇ?」
「アンタがいないから。」

…なんだか今、もの凄い告白をされたような気がする…

玄関の灯りと、半分欠けた月の光でうっすらと見える越前の顔は
真剣そのもので、
本気だという事はわかる。
わかるけど。

絶句したまあmでいると、越前は口元をふっと緩めた。
「英二先輩顔真っ赤。」
「…おチビ〜」
「今はまだアンタがテニス以上だとは思えないけど」
でも本気っすよ、と越前は、
笑った。

「近くにアンタがいると、幸せになれる。
だから、これからも俺と逢ってよ。
部を引退したからって逢わなくなるって薄情過ぎない?」
「で、でも、引退しても部に顔出すって」
「別に部に顔出してなんで言ってないでしょ。
俺と逢って、って言ってんの。」
「それは…」
断る理由なんて何も無い。
逢っても良い。
というか。

…こうして、久し振りに「正面から」越前の顔を見て、会話して、
嬉しいと思ってる自分がいるんだし。

「……ね、おチビ」
「なんすか」
「着替える時間も惜しいほど、俺に逢いたくなったんだ?」
「……」
越前はむっと眉間に皺を寄せ、一瞬返答に詰まる。
けど、ふう、と長く息を吐いて身体から力を抜くと、
苦笑した。
「そういう事っすね」

あのおチビがこんなに素直になるなら、
降伏せざるをえない。

「うん。
俺も、おチビといる時間、幸せになれるよ?」
そう笑うと、越前は今度は不敵に笑った。

「そうみたいっすね。
観てるだけでも楽しそうでしたし?」
「…えーっと」
「こっそり覗くくらいなら声掛けてくれればいいのに」
あー。やっぱりバレてたんだ。…さっきまで、覗いてた事。
だから、今日来たんだ。

「うん、でも悔しいじゃん」
今もちょっと悔しいけど。
あのおチビにこういう風に出られるなんて、思ってもいなかった。
でも、幸せだからいいや。
| 小話;庭球 | 14:55 | comments(0) | - | pookmark |↑PAGE TOP
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