感想&突発小話

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bell the cat 【黒尾+夜久】
合宿と後輩(主にリエーフ)について。


かきたかったのはレセプションの下りなんですけどね。



+++++++++++++++++++




「すまみませんでした。」
机の両端に手を置き、目の前で深々と頭を下げ真剣な声音で謝罪の言葉を口にするクラスメイト兼部活の主将の姿に
夜久は右手に持っていた食べ掛けのあんぱんにかじりつくともぐもぐときちんとよく噛んでからごくんと飲み込み、
左手に持っていたパック入りの牛乳を飲んで口の中をすっきりさせてから
ゆっくりと口を開いた。

二人きりで昼食を食べたいと言うので何事かと思ったが、うん、本当に何事だ? と首を傾げながら。

夜久は遠慮なくパンをもりもり食べていたが黒尾はまだ全くの手付かずだ。
食事が喉を通らない、というのはまあ大袈裟だろうが、何か胸につっかえるものがあるのだと言うのならばそれを先に片付けてやるべきだろう。

そのためにはまず。
「何に対しての謝罪なんだ?」
そう確認しなくてはならない。
黒尾はがばりと顔を上げた。
表情はあまり変わらないが、
「そんなに謝られる心当たりあるのか?!
もしかして知らない間に気に障るようなことしてた?!」
と、声に焦りが見えた。
らしくない。
夜久は、ストローで牛乳をずずっと吸い上げながらひらひらと手を振った。
「逆、逆。
心当たり全くないから訊いたんだよ。
つかんな風に返すって事は何か後ろ暗いことでもあんのか?」
「ありません。
……けど、なんつーか、夜久に大分負担かけてるんじゃないかと」
「負担?」
「リエーフ」
「……ああ」
出てきた名前に、夜久は苦笑した。

灰羽リエーフ。
バレーボール初心者の一年生。
その長身が、音駒にとって今一つ欠けていた攻撃の決定力に繋がるのではと、
ある程度形になってからはスターティングメンバーに入っている。

だが、初心者だというこてを差し引いても、それ以前の問題だった。

スパイクが決まるようになるまでは監督の指示によりセッターである孤爪が面倒を見ていた。

それがそれなりになってからは、繋ぎのバレーが売りの音駒においてレシーブは大事だからと、
守備の要である夜久がその指導を行っていたのだが
灰羽は夜久の厳しい指導とレシーブの地味な練習があまり好きではないらしく、逃げ回る。
そうなると上達するわけもなく、時間も無駄に過ぎる。
春の大会の東京都予選までにはせめて人並み程度に磨きあげたいと夜久はより厳しく練習させ
灰羽は余計にレシーブを嫌がる。
それを夜久が怒る。
という悪循環が発生していた。

「けど謝る程の事か?
まあ基礎のレシーブ教えるのは俺じゃなくてもっては思うけど」
「いやいやいや。
夜久がきっちりしめてくれるからこそちょっとずつだけどレシーブ巧くなったんだと思うぜ。
合宿中にアイツのブロックみてて思ったわ」

今まで何度かあった合宿での自主練習では、
黒尾と梟谷の主将でありエースである木兎、副主将の赤葦の練習に混ぜていた。
最初はレシーブの練習をさせるつもりだったのだが、
なんやかんやあり、烏野の一年生二人もその常連に加わり、試合形式になったため
灰羽のポジションはミドルブロッカーで、ブロックもしっかりできなくては、と言うこともあってブロックを中心に教えることにした。
のだが。

「烏野のチビちゃんは普段もバレーの事でも真っ直ぐだし、
眼鏡くんも普段はツンケンしてっけどバレーの事に関しちゃめっちゃ素直なんだよな」
夜久は、すっと手を挙げ話を中断させた。
話の腰を折った形になるが、結構大事な事だ。
「その二人、俺はあんまり接点ないからお前の呼び方で覚えちまいそうだ。
顔はわかるんだけど、名前なんだっけ。
チビちゃんは研磨がよく話してくれるショーヨーでいいんだよな?」
合宿の最初に特に生徒達で自己紹介をしたりはしていない。
全員分、となると時間を取られてしまうからだ。
それでも特には困らない。
知りたいなら自由時間などに話し掛けて訊けばいい。
試合中に飛び交う声で、なんとなくはわかりもする。

「そうそう。チビちゃんは日向翔陽、だな。
眼鏡くんはツッキー……月島だよ。こっちは下の名前は知らないけど」
「まあ他校の選手のフルネームはあんまり知らないよな。
苗字さえ知ってりゃ困らないし。
試合で戦った相手でもチーム全員は知らないとか皆普通にあるよな」
「……ソーダネー」
夜久さんは中学一年生の時に試合で戦った俺の事を名前どころか存在すら覚えてなかったですよね、と
喉元まで出掛かったが呑み込む。
つまり中学一年生の時の黒尾は夜久にとってはその程度の存在だったのだ。
黒尾だって自分のチームに敗けた相手チームの選手の名前や顔を全部覚えているのかと訊かれたらあやしい。

それはさておき。

「初心者とか、これから巧くなりたいってヤツに一番大事なのって、チビちゃんや眼鏡くんみたいな素直さなんだと思うわけだよ。
こちとらセンパイではあるがちゃんとした指導者ではないし全部を鵜呑みにしろとまでは言わないけどな」

身長とセンスはあるが、技術はない。
目立ちたい、活躍したいという欲はあるが、そのための努力を惜しむ。
基礎が出来上がっていないのに自分のやりたいようにやりたがる。

それらは地盤が固まってからいくらでもしていい。
気質を否定するわけではないのだ。
目立ちたいというのなら思う存分活躍してチームに貢献してくれ。とさえ思う。
エースになってくれるというならむしろ大歓迎なのだが、
現実は今のところ口先だけで実力が伴っていない。
せめて全ての練習に真摯に向き合ってくれれば評価できるのだが。

勿論、自分で考えることも大事だ。
だがそれも経験や、基本を踏まえた上での発展形であるべきだと黒尾は思っている。
長い歴史のあるバレーボール。
細かいルールは変わり、けれど、ねっこは変わっていないのだから先人の知恵を活用しなくては勿体無い。

「リエーフは、まあ何かきっかけがあれば化けるかも知れないから根気よく鍛えるしかないだろうな。
出来れば俺達がいるときに開花して欲しいもんだけど」
そうなった姿を間近で観てみたい。
夜久は密かに思っていた。
なんだかんだで後輩は可愛いものだ。
調子に乗られると困るので、本人に向かっては言わないけれど。
厳しいのを好まない上に、褒めて伸びるタイプともまた違うので面倒この上ない。

「合宿でリエーフを混ぜてる木兎達との練習は俺も実になるけど
夜久は自分の練習削らせてだから悪いと思ってる」
「それで謝ったのか?
むしろリエーフの世話しなくてすんでる合宿中は芝山と他の学校のリベロとレセプションパーティ楽しんでるから気にするな」
「……ほどほどにな」

話には聞いていた。
練習後に百本サーブをノルマとする梟谷グループの中の一校である生川高校は
合宿中も練習試合の後サーブの練習をしている。
それに目をつけた夜久が、サーブレシーブの練習をさせてもらう許可を取り付けた。
最初は夜久と芝山だけだったのだが最終的には参加校全部のリベロが集結し、
さながらサーブレシーブ=レセプションのパーティのようだと言い出したのは誰だったか。
ちなみに生川の練習は、累計七本捕られる度サーブが一本追加されるシステムになったらしい。
五本だと追加されまくるため十本にしてくれと監督に頼んだ結果間を取ったとのもっぱらの噂だが真相はわからない。

夜久の表情を見ると、楽しんでいるのだと言うのが伝わり
それならなにより。と黒尾も思わず笑みを浮かべた。

普段の部活では灰羽のレシーブを指導していて
知り合ってから今までで一番イライラしているようで、はたから見てストレスたまってそうだと密かに心配していたのだが
自分なりの方法で憂さ晴らし出来ているのなら大丈夫だろう。
生川の選手達には御愁傷様と心の中で手を合わせておく。
尊い犠牲だった。

才能も一定以上必要ではあるだろうが、
練習も本番も楽しむ。
黒尾は、それが、天才の条件だと思っている。
だから黒尾の中では夜久は天才だ。
本人がそんなラベリングを必要としていないだろうし、誰かに同意して欲しいわけでもないので口に出したりはしない。

「謝ったのは、それもあるけど
同じ指導をしても身に付けてくのがチビちゃんや眼鏡くんばっかでごみ捨て場の決戦実現のためとは言え敵に塩おくりまくってる感じで
もし全国で烏野と当たって敗けるような事になったら悪いなーと。
先に、ね」
「気が早いな。
つーか万が一それで敗けたって怒ったりしないって。敗けるつもりもないけどな。
だって「全国制覇」……するんだろ?」

一年生の時に図らずも二人声を合わせて掲げた目標。
今またその単語で声が重なった。
今回は、黒尾が意図して乗せたのだが。

夜久は二年半前と同じように、
精悍さが増した貌で、
笑った。

春の大会、東京は全国大会に三校まで出場することが出来る。
それでも、叶うならば優勝してその先に歩を進めたい。
そのためには全国三本の指に入るエースの佐久早を擁する井闥山か
全国五本の指に入るエースである木兎率いる梟谷に勝たなくてはならないのだが。

場合によってはそのどちらかに敗けたとしても、全国大会に行ける可能性を残す音駒と違い
烏野は牛島のいる白鳥沢を倒さなくては全国大会の道は拓けない。

「ゴミ捨て場の決戦は俺も俺達の代で達成したいからな。
遠慮せずガンガン鍛えてやれよ。」
夜久にお墨付きを貰い、黒尾はホッと安心して、ようやく昼食に手をつけた。
夜久の方は食べ終わったパンの袋をくしゃりと丸めながら、
だとすると、と首を傾げる。

「そういう理由がなあ木兎と赤葦はなんで二人の面倒みてるんだ?」
「練習付き合ってくれてる礼とかじゃないか?」
「ああ……赤葦あたりはそうか。
木兎は単にしたいようにしてるだけだろうけど」
「やっくんのソレ木兎を貶してるんだか褒めてるんだかわかんない」
「褒めてるんだよ。
損得勘定ナシでそーいうのやっちゃうやつだよなあって」
「損得勘定まみれでスミマセンねぇ」
「それがお前だろ?
お前が木兎みたいだったら気持ち悪い」
「慰めてくれてんのか?
夜久、お前相当優しいよな」
「……」
露骨に厭そうな表情に変わった夜久に、
「なんでそういうリアクションなんだよ。
海や後輩連中からの言葉には素直に照れるクセに!」
と黒尾は憤慨するが、
姿勢を正し真顔になった夜久に
「黒尾、いつも御苦労様。
今の音駒のカラーはお前が主将だからこそだと思う。
お前が主将で良かった。」
と告げられ、腕で顔を隠して机に突っ伏した。
「……どうよ」
「スミマセン勘弁してください……」
隠しきれなかった耳が真っ赤に染まってるのを見て、夜久は複雑な心境になる。
思ってもないことは言っていない。
けれどやはり、自分達の関係には不似合いな言葉だとも思う。
引退か卒業の時まで取っておけば良かった。
夜久は孤爪とこっそり引退式か卒業式で黒尾を泣かせよう同盟を結成していた。
嬉し泣きの方向で。

その為にはやはり全国大会出場と、ゴミ捨て場の決戦と、全国制覇をやり遂げたい。
それがどんなに困難であろうとも。

顔を上げた黒尾の表情も引き締まっていて、
同じように決意を新たにしたことが見てとれた。

梟谷グループという形で繋がった四つの学校と、
その中の一校である音駒高校の猫又監督のはからいにより今年参加している烏野高校のバレーボール部で行われている合同合宿の隙間。

夏休みを利用した合宿は八月末で終わり、
その次、最後の合同練習は十月の頭。

その間の、ちょっとした出来事。
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