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夜に求めて 【赤夜久】
赤葦視点。くっつくまでのもだもだ。
梟谷グループの合宿中。

似たような話ばかり書いている気がしないでもない。

題名はなんとなくの雰囲気なのであんまり深い意味はないです。


++++++++++++++++



夜久さんに、避けられている。


梟谷グループの合同練習は一年生の時から参加させて貰っていた。
参加二年目の今年は、去年よりは余裕を持って挑めている。
周囲を見回す余裕もできて、他校の選手の観察も楽しいとさえ思えるようになっていた。

梟谷の先輩達を筆頭に、実力が確かな見た目も中身も個性派揃いのメンバーの中で、
その人は、バレーボール選手の中では低い身長もあって、埋もれていた。

夜久衛輔。
守備を得意とする、「繋ぐ」バレーボールの音駒高校の中でも
レシーブ力が突出しているからこそ、リベロでいられる人。
練習試合でも何度もうちのエースである木兎さんのスパイクを綺麗にセッターまで返していた。
ブロックの働きがあってこそだとしても、この合宿のメンバーの中では、一番ではないかと思っている。
烏野のリベロも天才肌のようではあるけれど。

フルネームを知っているのは木兎さんが呼んでるのを聴いたからだ。
基本的に木兎さんは夜久さんを「やっくん」と呼んでいるけど。

……ああ、いや、下の名前は俺が音駒のセッターの孤爪に訊いたからだったかも知れない。
呆れたように、
「苗字だけで良くない?」
って言われたのを覚えてる。
「まあいいか。別に減らないだろうし」
と教えてくれたけど。
あの時、どうして俺は夜久さんの名前を知りたいと思ったんだっけ。

身長が低いと言っても背の高さはあまり関係のないリベロというポジションなのだし
気にするほどではないと思うけど
本人に背の話は禁句だというのは同じ学校の主将であり夜久さんの同級生である黒尾さんから聞いた。

目立たないわけではない。
むしろむさ苦しい男連中の中にあっては別の意味で目立つ。
けして女性的ではないが、大きな瞳で高校三年生のわりには幼さを感じさせる風貌と
その容姿でありながら後輩たちをまとめあげる行動は、
逆に目を惹いた。

一緒に自主練もしたのに、それなのに未だにあまり接点を持てていないのは、
彼が極力俺の視界に入らないようにしているからだと、ようやく気づいた。

何度かあった合宿も折り返しに差し掛かった時期になって、やっと。

合同練習後に木兎さんの際限のないスパイク練習に黒尾さんと一緒に付き合いながら
そこに音駒の物理的に大型のルーキーである灰羽、今年から梟谷グループの練習に加わった烏野の、一年生二人の指導めいたこともすることになって
自覚のないまま視野が狭くなっていたのかも知れない。
ハードな練習に忙殺していたとはいえ今更気づいたその事実に我ながら頭を抱えたくなった。

馴染みの顔触れで恒例となったミニゲーム終えた後、生まれた疑問を解消させる決意をした。
本人に直接、ではなく、恐らく彼を一番理解しているであろう二人のうちの一人である人物に訊こうと。

できるなら、もう一人の方、音駒の副主将の方が真摯に対応してくれただろうけど残念ながら今ここにはいない。
今夜も行われる予定の主将会議まで待てば機会もあるだろうけどそれまで待てなかった。

月島は独りでさっさといなくなり、日向と灰羽は木兎さんに質問をしていて、黒尾さんはそれを遠巻きに見ている。
こっそり質問するにはおあつらえむきのシチュエーションだ。

近寄り、世間話のように尋ねる。
「黒尾さん。
俺、知らない間に夜久さんに嫌われるようなことをしてたんでしょうか」
「あー……」
なんでもない風を装いながら尋ねたら、黒尾さんは頭をがりがり掻きながら
「……気づいちゃった?」
と質問を質問で返してきたので無言で頷く。
「なんか気になる、ってだけならほっといてやってくんねぇ?
赤葦だって別にこの合宿にいる全員と仲良くなりたい訳じゃないんだろ?
そーゆー柄じゃなさそーだもんなぁ」
よくわからない返答ではあったけれどわかったことがある。

黒尾さんは夜久さんが俺を避ける理由を知っていて、それを俺に教えるつもりはなく、
むしろこのまま遠ざけていたいと思っている、ということだ。

今のこの人にはこれ以上なにを訊いても無駄だろう。

「そういう黒尾さんは全員と一回は会話してそうですね」
「普通の会話から見えてくるモンもあるからなー。
性格って結構プレイに出ねぇ?」
「普段と試合とじゃ豹変する人もいますけど」
「そういうのも含めて観察すんの楽しいんだよ」
「そういうものですか」
「そういうものなんです」

多分黒尾さんは人間が好きなんだろう。
厄介な人でも面白いヤツという評価に変えてしまう。
人付き合いが苦手な孤爪と幼馴染みとして長く付き合えているのもおそらくその性格ゆえだ。
いや、孤爪の傍にいたからそんな考えに到ったのか?
ともあれ。

なら、俺は?

交流のない他校の人を、その理由がその人に避けられてるから、だとして、
誰でも、例えばそれが森然や生川の主将とかの先輩達だとしてもこんなに気にしただろうか。

確かめたい。
本人に直接突撃するのが手っ取り早いだろう。
嫌われて、避けられてるのだとしても。

「赤葦」
「はい?」
「お手柔らかにな」
「……善処します」

黒尾さんには見透かされているようだ。
もしかしたら、俺が知らない俺のことまでも。


こういうときに合宿形態なのは有り難かった。
練習以外も同じ敷地内にいるため、捜すのも時間を作るのもそんなには難しくない。

夜久さんは音駒の人達と一緒にいることが多いけど、独りになることだってあるはずだ。
今回の合宿は一週間まるまるある。
その中の、いつかどこかで、話が出来ればと思っていた。

翌日、その機会はあっさり訪れた。

就寝前。
自動販売機の前に立っていた夜久さんを見つけ、周囲に他に誰もいないことを確認してから傍に寄る。

「夜久さんは俺が嫌いだから俺を避けてるんですか?」
何を買うか真剣に悩んでいたらしい夜久さんは、俺が背後から話し掛けると驚いて振り返った。
「……っ」
反射的に、といった感じで口を開きかけ、はっとした様子で一度閉じて、仕切り直すようにふう、と息を吐き、冷たい眸で俺を真っ直ぐに視た。
身長差があるため、下から、見上げるように。

「そうだよ。だから、もう話し掛けんな」

妙な間はあったけれど、はっきりとそうだと断言されて、態度にも出されて。
鉛でも呑み込んでしまったように胃がずしんと重くなった。

何故。何時。
俺は夜久さんに何をしてしまったんだろう。
感情を素直に表に出し、大抵の事はさばさばと処理するような人に、こんな風につっぱねられるような、何を。

「赤葦? ……っ!」
「……すみません」

もうとっくに嫌われているなら、形振りなんて構わないで、
いっそとことん嫌われてしまえば諦めがつくと……

諦め?
何に?

「おまえはばかだ」

痛みを伴うような夜久さんの言葉が耳に届いたけれど
衝動を止められなかった。
「おれも、な」
そんなふうに続いていたらしいけれど、
その呟きは吐息にまぎれて消えた。

唇を奪い、貪るように喰らい、さんざん蹂躙した。
……したのはキスだけだけども、なんというか、そうとでも表現しないとならないような行為だった。
勿論一方的なそれだ。

これが最初で最後。
そんな焦燥感に駆られていたからか、手加減なんて出来なかった。
キスだけで済ませられただけでも……
……俺は、それ以上のことを、この人にしたい、のか?

拘束していた腕の中から解放すると、夜久さんは、酸欠からか顔を真っ赤にしていた。
文句の一つも飛んでこないところを見るとまだ混乱しているんだろうか。

「嫌だったら、本気で蹴ってくれて良かったんですよ。
灰羽にしてるように」
そう言うと、ぎろりと睨まれる。少し涙目だ。
「できるか」
「どうしてですか」
「後輩だけど他校のだし、それに、
……ああもう」

夜久さんは朱らんだ顔を両腕でおおいながらしゃがみこんだ。
聞き捨てならないんですが。

「他校の後輩なら、こういうこと、赦すんですか」
「その喩えは他に俺にこんなことするヤツいなきゃ意味ないだろ」
「まあ、そうですけど」
目線を近付けようと、俺もその場に片膝をつく。

夜久さんはちらりと一瞬だけ俺を視て、視線を床に落とした。

「勘違いしそうになったから不自然にならないように逃げたのに」
「勘違い……ですか」
「お前が、いつも俺を視てるから」
「俺が……?」
夜久さんを、視ていた?

ゆっくりと顔を上げた夜久さんは、さっきまでの慌てっぷりはどこへやら、
落ち着いた表情をしていた。

「なあ赤葦。
俺達が言葉を交わした事なんて、去年合宿で初めて顔を合わせてから今まで数える程度で
なのに何でお前は、俺のことをそんなに知ってるんだ?」
「それは、黒尾さんから話を……」
聞いていた、はず。
なのにどうして、具体的には、思い出せない?

「そもそも接点がないのに、俺はそんなに露骨には視線を逸らしたりも逃げたりもしてないのに、何でお前は俺に避けられてると思ったんだ?」
「どうして……?
それは、俺が」

ああそうか。
不自然だったのは俺の方だ。

「夜久さんを、足りないと感じた、から」

渇望。
もっと夜久さんが欲しくて。
掌から零れていくのを塞き止めたくて、
それが叶わないなら、どんな手段を使ってももっと視界に入りたいとそう思った。
避けられてたなら、それなりに意識はされていたようだけど。

夜久さんは俺の顔をじっと視ていたかと思うと、そっと小さく息を吐いた。

「熱心に視てくるのは、選手として注目してくれてんのかと思った。
俺はその熱さにやられて勝手にお前を好きになって、
けど多分お前は違うんだろうって思ってたから手遅れにならない内に遠ざけようとした。」

夜久さんの言葉の意味をちゃんと理解する前に、反射的に応える。
「試合してない時も眼で追ってました。
とっくに手遅れだったみたいです。
俺の方が」

……今、夜久さんは、俺を好きだとそう言った……のか?

「あの」
「拒めるわけないだろ。
こんな形でお前のキモチ知ることになるとは思わなかったけど」
「好きです」
遮るように、肩を掴み、視線を合わせてはっきり告げる。
「じゃ、ない相手に強引にキスするようなヤツじゃなくて良かったよ。
俺も赤葦が好きだぜ?」
「誰からのくちづけも甘んじて受け入れるわけじゃないんですよね?」
「そんな尻軽に見えるのか?」
「見えませんけど。
妙なところで甘い人だとは思ってたんで」




「黒尾に、赤葦のこと白黒ハッキリさせたいなら自由時間に独りでいれば? って言われたけど
本当に釣れるなんてな」
「黒尾さんが?
確かに、夜久さんと二人きりになれるのを狙ってましたけど」
「……」
「話をするために、です」
あんなことをしでかしたあとじゃ信用されないだろうけど。

のしかかるように抱き締める。
「っ、おいあかあし」
どがめるように名前を呼ばれるけど、このぐらいは赦して欲しい。
「合宿じゃなかったらキス以上の事もしたかったです」
「……お前、思ったよりがっつくタイプなんだな」
「俺も初めて知りました」
「……そっか。なんか嬉しいな」
回された手がぽんぽんと背中を叩く。あやすように。

「けど、さっき言っただろ?
黒尾に言われて独りでいたって」
「言ってましたね。
……まさか」
「まだいるかどうかはわかんねーけど、覗いてた可能性は高いな。
下手するとお前んとこのエース様と一緒に」
「木兎さんが静かにしてられるとは思わないので視られてたとしても黒尾さんだけだと思いたいです」
「部屋に戻ってニヤついてたら一発蹴り入れとく。
お前も木兎の様子がおかしかったらガツンと言っといた方がいいぞ?」
「そうですね」
どこかから視られていたと確信を持っているみたいな言いぐさだ。

「それなのに受け入れてくれたんですか?」
少し離れて顔を覗き込むと
夜久さんは、「おう」と、照れたように笑った。

「拒んでたら拗れてただろ?
逃げようとしたのはお前がどんなつもりで俺を視てるかわからなかったからだったからな。
まさか本人もわかってなかったとは思わなかったけど。
なら意図を察せられなくても仕方ないよな」
「そうですね。面目ないです」
「赤葦が変なとこで鈍いってわかって面白かったけどな。って面白がっちゃ悪いか。」
落胆されたりするより笑い飛ばされるぐらいですんで助かりましたけどね。

「俺は、好きなヤツから行動で意思表示されて、
今はタイミング悪いからまたの機会に、なんて流せるほど人間できてないんだよ」
「……夜久さん」
「ん?」
一番惹かれたのは多分この部分だ。
目に痛い程に眩しいぐらいの真っ直ぐさ。
自分を偽らない潔さ。
厳しいぐらいのそれは心地いいぐらいで、だから改めて言葉にしたくなった。

「愛してます」

「俺もだよ。赤葦」

夜久さんはきょとんとした後で、ニカッと笑った。




去年の合宿の前半の音駒は猫又監督もまだいなくて
三年生が、特に孤爪に対して風当たりが強い態度を取っていた。
それを、二年生の黒尾さんと夜久さんが風通しを良くさせて、海さんが場を和ませていた。
練習は、そんな威張っている風な最上級生より後輩達の方がずっと熱心で、真剣で、
来年に向けて準備をしているのだと、同じように本気だった自分達は気付いた。

けして良いとは言えない境遇で、腐らず前を、上を視ていたその姿勢に目が離せなかった。
この頃から既に、夜久さんを眼で追っていたんだと
思い返して、今になって気付いた。

インターハイ予選が終わった後はその三年生達は引退して
伸び伸びしていたのを覚えている。
その中でも夜久さんのスタンスはずっと変わらなくて、
後輩の面倒もみながら、バレーボールが出来ればいい、そんな感じで。

まさかそれが恋だとは、知らずにいたけれど。

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