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【劇場版ネタバレ】ラストゲームの向こう側【黛火】
黛さん視点。
劇場版ネタバレ全開なので注意。捏造も山盛りです。
作者さん曰く漫画とアニメは別次元らしいですがアニメから入った身としてはこの設定で書いておきたいと思った次第。
黛さんの将来についてはぼやかしてますが黛さんも本気出したらそれなりに選択肢があるものと思ってます。


パンフレットは通常版を購入したんですが黛さんが載ってなくて残念でした。



+++++++++++++++++



話を聞いた時の感想は、思ったより早かったな、だった。

東京の大学に進んだ俺は、火神と知り合い、家に遊びに行く仲にまでなっていた。
それも、結構頻繁に。

父親は未だアメリカにいて、日本で独り暮らしをしていた火神は、
自覚はなかったようだがどうにも淋しかったらしく
家事、特に料理が苦手だと嘆いた俺を食事に誘ったのが事の始まりだ。
俺も黙って甘えてばかりではなく、一緒にキッチンに立って料理を教えてもらったり、
犬が苦手な火神にも容赦なく当番が回ってくる部で飼っているという犬の世話を手伝ったりした。
多分それが火神が俺になついた一番の要因だろう。
旧型の影に似た犬は、見ていると複雑な気分になりはしたが
高校卒業と同時に影もバスケも辞めたのでそれほどは気にならなかった。

インターハイが終わり、どこの高校が優勝しただとか、
アメリカのストバスチームが来日してイベントが行われ、日本のチームがボロ敗けしたリベンジのためにキセキやらが集められる事になったとかそんなことは、
火神から聞かなければ知らないままだっただろう。

そのぐらい、卒業した学校のやつらにも対戦した学校のやつらにも興味がなかった。
ただ、火神が表情をくるくると変えながら話すのを視るのは好きだった。
その日にあったことを誰かに報告するなんてしたことがなかったのか、
最初のうちは戸惑ってばかりで話も時系列がぐちゃぐちゃで支離滅裂だったが
今では普通に話せるようになって聴く方としても楽になった。
それと関係があるかはわからないが国語の成績も少し上がったらしい。

敬語に直そうとするのは面白かったがその度にテンポが悪くなるので早早に辞めさせた。

キセキ達とチームを組むと言う話は俺の顔を見たと同時に報告してくれた。
メールなどでの近況報告のやりとりはしていない。
する必要がないぐらいの頻度で俺が火神の家に入り浸ってるわけだが。

食費を払おうと提案したが自分が食べる量の誤差の範囲内だからと固辞され
ならその代わりにと掃除洗濯の手伝いもして自然と家事が身に付いていった。
まさに火神さまさまだ。

隠し事を苦手とする火神のわりには巧く包み隠そうとしていたが、
何か、言いづらいことがあるようだとは気づいた。
けれどこちらから水を向けるつもりはなかった。
言いたくなったら言わなくてもいい。
俺達が何でもかんでもを話せる仲ではないのは理解していた。
少し淋しいが。
俺も、全てを火神に話しているわけじゃない。

食事を終え、並んで食器を洗う。
火神が珍しく口数が少なかったので、俺が喋る事にする。
話題は、聞いたばかりの即席チームのことにしておく。

「キセキとチームを組んでもお前の良さは活かせなさそうだよな。
付け焼き刃のチームプレイじゃお前の最終奥義は繰り出せないだろ」
去年のウィンターカップで最後に見せたまさしくチーム一丸の技。
火神を軸としたそれは、気心の知れたチームメイトと一緒でなければ発動できないシステムのようだった。
凡人の俺には理解しきれていないが。

「まあキセキもお前も一人一人が強いから出来なくても勝ち目がないわけじゃないか。
出来たら出来たでお前どんだけチョロいんだよっつーか誠凛のやつらも微妙な気持ちになるだろうな」
「黛さん」
「なんだ」
誠凛、の単語にびくりと肩が震えたのを気づかなかったふりで呼ばれた名前に返事をする。

「俺がいなくなっても、大丈夫だと思いますか」

何が、とは言葉にしていないが、話の流れから誠凛の事だとわかった。

「……全国大会にはギリ行けるかもな。
お前抜きで優勝は難しいんじゃないか?
赤司と無冠三人がいる洛山に勝つのは他のキセキがいるチームでも至難だろ」
他人事のように分析する。
少しの間とは言え『影』をやってみてわかった事がある。
一人の強い光、洛山なら赤司が相当するだろうか、だけでは影の薄さはそれほどにはならない。
他のメンバーも目立ってこそ存在を眩ませ易くなる。
無冠の五将の三人がいたからこそ俺は新型の影として機能できた。
他のチームではまず無理だっただろう。
ウィンターカップで開眼した誠凛の連中ならそれに近いものには成れている
かといって一際強い光を放つ、絶対エースがいなくては話にならなくもある。
キセキの世代を押さえされる人間がいなくては、勝ち目などないに等しい。

特に、同じ東京地区で枠を争う事になる秀徳にはスリーポイントシュートをポンポン決める緑間がいる。
対策には、少なくとも火神並みの実力の選手がいないと厳しいだろう。
同じ東京地区で枠を争うだ。
全国大会進出には今は怪我を治すためにアメリカにいるという木吉の復帰が必須だとも思う。

新入部員に逸材がいるかも知れないが、火神が抜けるなら、その穴は深く大きい。

「なんだ。とうとう父親からアメリカに来いとでも言われたか?
なら高校卒業まで待ってもらう事も出来るんじゃないのか?
中学からずっとほぼ放置だったんだろ」
だとすると遅いぐらいだし中途半端だ。
だが、火神はかぶりを振った。

「違う。
……今朝、アレックスから電話があった」
「成程。スカウトか」
「……うす」
火神はアメリカでの暮らしが長いと聞くし父親もアメリカだ。
日本の大会を観て有力選手を是非うちに、となった場合越えなければならないハードルは少ない。

あとは本人の気持ちだけだ。
そのハードルがとても高いのだろうが。

詳しくは知らないが、中学時代のバスケの部活であまりいい思いをしなかったらしい火神は
誠凛のバスケ部に対し相当な愛着を持っているのだとと言葉の端々から迸っていた。

高校のバスケ部にあんまりいい想い出がない俺からすれば、ひどく眩しい。
例えば犬当番とか、理不尽だってあっただろうに、それすら輝きに変えているようで。

名残惜しい気持ちはわからないこともなくもないが。
「迷う必要ないだろ。
バスケ馬鹿のお前には願ってもないチャンスだろ?」
「けど、せっかく黛さんと仲良くなれたのに」
「……俺?」
「黛さんは日本から出る予定はないだろ?」
「当たり前だ。ラノベが読めなくなる」
「だよな」
親がアメリカで、学校もそっちで、その国でプロを目指すとするならば火神が日本に戻ってくる理由は殆どない。

俺が、多少なりとも後ろ髪を引く一因になっていることに、正直驚いた。

「誠凛の事は……電話来たとき黒子が一緒にいて、行ってこいって言ってくれて、でもせめて卒業まではって気持ちもあって。
キセキのやつらとは、バスケ続けてる限りまた遭える気はするけど、
アンタとはそうじゃないから」
「そうだな」

自分達以外誰も知らない密やかな関係。
細い糸で繋がったソレは、いとも容易く切れてしまう。

「……試合」
「ん?」
「観に行く。
ジャバウォック、だったか? ふざけたチーム名のやつらとの試合。
あまり興味はなかったが、お前の日本での最後の試合になるなら、俄然観たくなった」
「ふざけてるのか?
ジャバウォックって怪物の名前って聞いたけど」
「大元は鏡の国のアリスの中に出てくる詩だ。
意味のない議論を意味してると言う解釈がある。
それをヴォーパルソード、真理の言葉で一刀両断するってな。
英語の詩だから日本語にするとわけがわからなくなるが、原典は英語だからお前の方が理解できるかもな」
「言葉遊びは苦手だ」
火神は何故か苦い表情をした。
「駄洒落とは違うぞ?
ああでも日本の古典文学を理解するには駄洒落に親しんでも損はないと思うがな。
短歌や俳句はダブルミーニング、下手するとトリプルミーニングもあるから」
そこまで言って、火神にはもうそれは必要なくなるのか、と思い至る。

鏡の国に現れるという化け物は、アメリカに渡る前の火神が剣を振るう最後の敵になるのか、と
感慨に耽りそうになる。



まさか、ドリームチームの名前がまんまヴォーパルソードになるとは思わなかった。
チーム名で喧嘩売ってどうする。赤司か。赤司っぽいな。
火神がしょっちゅう本を読んでいると言っていた黒子も知識はありそうだが。
なんつうか逆に応援するとき呼びにくそうだな、という感想しか抱けない。
そんなに知名度ない名称だろ。

少し遅れて入場したため席には座らず観戦することになったが、思いの外火神の見せ場はなく、
けどバラバラな連中がチームとしてまとまるその為には必要な存在かもなとも思う。
中学時代のキセキは、最後の方は個人プレイしかしていないという話だった。
それが即席チームの割りにちゃんとチームプレイをしてる。
火神という異分子が過去を思い出させないようにしているかの如く。

赤司の人格交代劇やら意外な事も起きたが、ギリギリながら最後はきっちり勝利をもぎ取った。
相手は選手交替がないままだったから
勝負としては勝ったが実力はナッシュとシルバーの二人だけでも相当なものだったんだろうな、と感じる。
個人の能力としてはキセキ以上っぽくて、世界は広いと思ったし、
その世界から足を洗った自分と本場に単身乗り込むことになる火神を想った。

同じ世界にはいられない。
けれど違う世界でも重なり合うことは出来る筈だ。

祝勝会をする流れになった様子を遠くから眺める。
その後は火神が学校の仲間を集めてあの話をするんだろう。
出発はまだ先だとしても。先だからこそ。

俺はと言うと、次に逢った時にちゃんと話をする覚悟を決めた。
火神がアメリカに発つ前に。


どうせならと帰り道で合流した。
事前に一応連絡を入れた上で。
火神は、俺を見るなりなんとも言えない表情になった。
誠凛の連中に話したことで確定になった別離を噛み締めるような。

「お疲れ。
まさかあの後に更に試合するとはな。」
バスケ馬鹿ここに極まれりとでも言うか。
骨折してた紫原まで参加してたのには驚いた。
「赤司がオゼンダテ? してくれて……
つか来てたなら黛さんにも参加して欲しかったっす。
観てたんだよな?」
「キセキと同じチームに入れと?
断固拒否する」
「なら」
「一チームに影は二人も要らないだろ。
良かったな。歓んで送り出してくれるチームメイトで」
「……」
「チャンスは逃せばまた訪れるとは限らない。
お前の選択は正しい。火神」
「…………」
「早いとこ有名になれよ。
こっちでもテレビで試合観れるぐらいの」
「黛さん、俺は」
「火神。少し時間をくれるか」
立ち止まる。

俺は疲れている火神を導くように少し先を歩いていた。
わざと遠回りの道を選んで。
この男と、初めて逢った場所。
その前で、足を止める。

思い詰めていた火神は、俺が立ち止まったことでようやく周囲に目を向ける余裕が出来たようだ。
東京体育館の前だと気付き、驚いている。

向き合い、見上げる。
暫く逢えなくなるならば。その前に、この気持ちに終止符を打たなければならない。

「火神。俺はお前を待っていてもいいか?」
「……待つ?」
「お前がアメリカで俺は日本で。
洒落にならないぐらいの遠距離だけど、お前との関係を終わりにしたくない。
いや、まだ始まってないか」

風が吹く。
背中を押すように。

「三次元の、しかも男にこんな感情を抱く日がくるとは思わなかった。
お前が遠くに行くって知って、確固たる繋がりが欲しくなった。」
「……それって、」

「好きだ。
恋愛感情として、な。
お前も同じ気持ちだと
勘違いじゃないと思うんだが、どうだ?」
「……けど、俺は、もう」
「先の事はこの際どうでもいい。
今の気持ちを聴かせろ。それだけで力になるから」
「……っアンタが好きだ。
離れたくなかった。のに、笑って送り出そうとしてくれるから」
「好きな相手の、手が届くはずの夢を邪魔するなんてできねぇよ。
けど、だからって諦めてやれもしなかったけど」
「待ってて……くれるのか」
「まるっきり日本に来ないなんて事はないんだろ?
お前の事だ。誠凛の試合を応援しに来たりしそうだしな。
そのついででも逢えればいい」
「アンタとはバスケ以外のとこでぬくもりをたくさん貰った。
それを何一つ返せてないっ……!
なのに、」
「泣くな。
男前だ台無しだ。
ま、そういうところが可愛いんだけどな」

真っ直ぐに感謝の言葉をぶつけられて、いつだって飾らない火神の言葉に癒されていたのは俺の方だ。
だけど俺は狡い大人だから。

「待ってるから。待たせてくれるなら、約束をくれないか」
「約束?」
火神はきょとんとする。
二試合終わらせた火神に、無体な要求だとは思うが。
「ぬくもりを感じさせてくれないか。
お前の全てで」

手始めに、その唇で。
そう囁くと、火神は頬を朱らめそっと眼を閉じた。




火神が出発する当日に空港行ったが近づきはしなかった。
感動的な別れを邪魔するような野暮はしない。
それでも足を運んでしまったのは、
惚れた相手を遠くからでも見送りたいという健気な気持ちからだ。
前日にさんざん別れを惜しんだがそれとこれとは話は別だ。

直接逢えなくなっても
便利な世の中だから、国は違えど顔を見て電話は出来るしメールだって荷物だって送ることが出来る。
俺は火神の傍で覚えたスキルで独り暮らしをなんなくこなせるようになっていた。
一緒に作った料理を独りで食べると淋しくなったりするが、
火神も同じようで、俺とは違い、てらいもなく素直にそれを伝えてくる。

帰る場所ではない日本にたびたび訪れては俺のところに泊まって行った。
もともと野性的な雰囲気だったが、逢う度にそれ精悍という言葉が似合う感じになっていった。
壁にぶつかりながら、それでも、仲間とさえ巧くやれるなら精神的には問題ないようだった。
けどさすがに弱味を見せられる相手まではいならいらしく、甘えてくれるのが嬉しかったりもした。

向こうでナッシュと交流が出来たという話には驚いたが納得もした。
あの試合で思うところがあったらしいナッシュは、ストバスを辞め本気でプロを目指すことにしたらしい。
最初はいさかいだらけだったが今や悪友みたいなものだという報告に、
お前は国が変わってもやってることが変わらないな、と苦笑するしかない。

誰と仲良くなろうが、意外と自己防衛能力に長けている火神が身体まで赦しているのは自分だけだという自負で
嫉妬で身を焦がすことなく済んでいる。
火神が俺が心変わりしてないかとか知らないところでモテてるんじゃないかとか心配してくれるのは可愛く思うが
面倒な人付き合いを避けまくってる俺がこの先火神以上の人間を見つけられることはないだろうし
ひっそり暮らしている俺がモテるなんて事はあり得ないので杞憂が過ぎると毎度宥める羽目になる。
お陰で俺が同じ悩みを持つ必要がないのは有り難いが。

誠実な火神の事だ。
俺に愛想を尽かしたのならきちんとそう告げてくるだろう。
そんな日が一生来ないことを祈るしかないが。



数年後。
大学を卒業した俺は、アメリカの地に立っていた。
ぼっちで卒業旅行、などではない。
就職の為だ。
治安だとか人柄だとか絶対俺向きの国ではないんだが。

連絡を入れ、指定した場所に現れた火神はぽかんと口を開けていた。
サプライズ、のつもりはなかったが不確定要素が多すぎたのでアメリカに来ることを言わずにいたためだろう。

「黛さん?
こっちに住むっつったか? え、でもラノベは?」
開口一番それか。
「今は電子書籍ってのがあってな。
アメリカでも日本のラノベ買えなくはないんだ。
本の形態の方が好きではあるが」
「けど」
「堪え性がなくて、待ちきれなくなった。
お前がプロ引退するまでってのはやっぱ長い」
「いや、つかそもそもまだプロにはなってねーんだけど」
「なれないのか?」
「なります!」
いい返事に、満足げに頷いて見せる。

「直接顔視て言いたくなったってのもある。
待ってるだけってのも性に合わないみたいだ」
「黛さんらしいな」
「嬉しくないのか」
「めちゃくちゃ嬉しいぜ!」
うんまあその笑顔を見りゃ返事はわかってたんだが。
やっぱ言葉で聞きたくなる。
だから、俺も。

「I do not look like most of you in the vicinity.
We will be together foever.」

「……俺も。
黛さんが傍にいてくれるなら百人力だ」
「そりゃ良かった。」
いい応えだ。
けど。

「せっかくカッコつけて英語でプロポーズしたのに日本語で返すな」
「わ、悪い。
黛さん見たら安心して日本語で話したくなって」
「悪くはないけどな」

日本で一生を終えるつもりだった俺にこうしてはるばる海を越えさせた。
お前にはそれだけの吸引力があるんだと、そのことは。
共に過ごすこれから先の長い未来、少しずつでもわからせて行きたい。

「こっちの生活に関しては暫く頼らせて貰う事になりそうだけどいいか?」
「慣れるまで一緒に暮らす、か?
部屋、あるんで」
「お言葉に甘えるぞ。
下手すると居座るぞ」
「それは」

願ったりだな! と快活に笑う火神を見られただけで
冒険して良かったと、なけなしの勇気が報われた気がした。
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