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導火線の友人 【新坂】
新坂なんだけども前半東堂さんと坂道くんの会話。
東堂さん視点。
坂道くん二年生のインハイ後。
後半は楽しくなって長くなった箱学と総北の旧三年生(−巻ちゃん)と坂道くんの会合です。


49巻をうっかり買った結果がこれでした。
(アニメは観てるけど二年目のインハイの原作は読んだり読まなかったりですスミマセン)



+++++++++++++++++++



彼が、怒るだとか反論するだとか、
そういうことをしないタイプだということは
わかっていたはずだった。

彼が俺の高校時代のチームメイトと恋仲になったと知った後、
二人きりで逢う機会があった。

彼――小野田坂道は
俺のライバル――巻島裕介の後輩であり、
俺の後輩――真波山岳のライバルだ。
俺がメガネくんと呼ぶその彼が恋仲になったのは新開隼人で、一体いつ懇意になったのかだとか疑問は尽きないが、それより何より。

「まさかオレ程ではないにせよモテまくって選り取りみどりであろうあの男が
よりにもよっておまえを選ぶとはな。
先の苦労は目に見えるだろうに」

他意はなかった。
いやあったのかも知れない。

初対面で三下と断じてしまった程メガネくんはビジュアル的にも平凡で、
ロードバイクに乗れば存在感が増しはするが
その辺を歩いていたところで誰も振り返りはしないだろう程凡庸だった。
巻ちゃんとの会話で所謂アニメオタクというものだと知ったが、
いかにもそれらしい風貌である。
今着ている私服もセンスが良いとは決して言えず、
いるだけで派手な新開の隣に立つと酷くアンバランスになるであろうことは想像に難くない。

だからおそらくオレは無意識に下に見ていたのだ。メガネくんを。

まぐれで勝てるほど箱学は、真波は弱くない。
それに打ち勝ったことのあるメガネくんが、初心者だったという彼が
ロードだけでなく、登りだけでなく、
一筋縄でいくような人間ではないと
少し考えればわかりそうなものだというのに。

言われたメガネくんはなんとも形容のし難い表情を浮かべた。
似たようなものをつい先日目にしたことがある。

今年のインターハイ二日目の夜。
偶然の邂逅時に彼に放った一言。

「雪辱を果たす真波を見たかった」

それを聴いた直後に浮かべたモノ。
それはイコールメガネくんの敗北を望む言葉であったのだが、
メガネくんは直ぐに真波を持ち上げ、
更には微笑みすらした。

あの時はその心の流れがまるで理解できなかった。
だが今は。

「そうですよね!
新開さんはとても素晴らしい人ですから!
ボクもどうして選んでいただけたのか不思議なぐらいで!」

そして、また笑う。

「東堂さんは、新開さんを心配されてるんですよね。
そういうお友達っていいですね」

ほわりと、穏やかな春の陽射しのような笑顔で、そんなふうにのたまうのだ。

「ボクも、新開さんとお付き合いすることに決めた後に、色んな方に心配していただきました。
主にチーム総北の関係者なんですけど。」
「……報告を、したのか?」

驚いた。
多少は認められてきてはいるが同性愛は未だにマイノリティだし偏見も少なくはないだろう。
と、同時に、メガネくんからきちんと告げられてしまったら
彼の周囲の人々は最初は反対したとしても最終的には祝福し応援すると決めたのだろうと、
幸福そうな彼の様子から推測できた。

「……巻ちゃんにも?」
「はい。手紙で。
お返事いただけました。
新開さんならまあ赦す、と」
「巻ちゃんの判断基準がわからない」
誰までならセーフなのだ。
オレだったらどうだったのだ。
アウトなような気がしないでもそんなことはないよな巻ちゃん!

「東堂さんも新開さんから聴いたんじゃないんですか?」
「いいや。
オレはフクから近況ついでにそう言えばと教えられたのだよ。
新開本人からは何も言われてはおらん!」
口数が多くないフクがわざわざ教えてくれたのは
新開がオレに話していないだろうと見越してだったのか。
秘密にしているわけではないし知っておいた方がいいと思ってな、とまで言っていたぞフクは!

思い出したら腹が立ってきたので少しばかり意地悪をしたくなる。
というか、確認しておきたい。
一応友人のことなのだ。
オレの見込んだ後輩クライマーの事でもある。

「メガネくんは不安になったりはしないのかね」
「不安、ですか?」

きょとりと眼鏡の奥で丸くなる瞳は大きく、
つい残るもう一人の友人である荒北の何倍あるのだろうなと関係ないことが頭をよぎった。
その荒北はちゃんと新開にメガネくんと付き合うことになったと報告されていたそうた。
何故! オレには! 新開!
心の中で新開に抗議していたが、明らかに変化したメガネくんの気配に現実に引き戻された。

「正直、ないって言ったら嘘になりますけど、
ボクは告白された時にさんざん疑ってしまったので、その分
この先、何があっても新開さんの事を信じ抜こう、って、決めました。
ボクのことまで気にかけてくださってありがとうございます、東堂さん」

強い意志をオーラのように身体から噴出させるその姿は、
遠目から視たレース中の時のメガネくんの姿に似て。
本気だとわかって、
そして試すような質問をしたオレに礼までも。

「そうか……。
カッコいいな、キミは。」
年下の相手にそう感じたのは、初めてかもしれない。
「へあっ?!」
「正直ロードから降りたメガネくんの何処に新開が惹かれる要素があるのか心底疑問だったんだが」
「それはまあボクにもわからないんですけどね」
「新開のことだからさんざん褒めそやすように口説いているんではないのか。
ああいやいい応えなくても構わんそうではなくて」
真っ赤になったメガネくんの顔の色が答だろう。
のろけられてはたまらない。

「オレにもわかった気がする。
巻ちゃんがメガネくんを気に入っていた理由も、荒北がおまえを小野田チャンと呼ぶ理由もな。」

素直で正直で愚直。
ひたすら真っ直ぐに。
自己評価がやたら低いのが珠に疵だが。

他人に対して敬意を忘れない。人を、蔑ろにしない。
それは、新開とも共通している部分だろう。
あの男も飄々と己の価値観で他人をプラスに測る。

違うのはその発露の仕方。
メガネくんの凄いです尊敬してますカッコいいです攻撃は、
あの夜喰らったが破壊力抜群だった。
巻ちゃんとの約束がなければ陥落していた可能性があると思い至りだが今はそれは。

「危うく岡惚れしそうになるところだった」
「は? おか……? ええと、なんですか?」
「聞き流してくれ」
わざと聞き慣れないような言葉を使いはしたが口に出したくなった。
さすがに友人の恋人に横恋慕は洒落にならないからしないがな。

「思い止まってくれて良かったよ、尽八」
「……っ新開!」
「新開さん!」
メガネくんの表情が艶を帯びた。
恋をすると言うことはこんなにも目に見えた変化をもたらすものかと驚く。
もう一人の男は憎らしいほどに変わっていないが。

「やあ坂道くん。遅くなって悪い。
尽八に話し相手になって貰ってたのかい? 大丈夫だった?」
「あっはい! 大丈夫です、よ?」
「どういう意味だ新開」
「自分の胸に訊いてみなよ」
ばきゅん。

その仕止めるという合図は明らかに牽制の意味だよな?
盗らんよ友人の恋人など!
このオレが本気を出せば盗れそうではあるがな!
だがそれは新開だけでなくフクや荒北、メガネくんの周囲にも恨まれるやつではないか! 特に巻ちゃんあたりに!
それは割りに合わん!
それも見越して公認の仲にしたんだろうがな。

今日はメガネくんが新開の恋人になった事を祝いたいとフクが呟いた事を荒北が拾い
金城と田所も呼んでうちと総北の卒業生とメガネくんで食事会をすることになっていた。
メガネくんは新開と一旦別の場所、つまりまあ此処なのだが、で待ち合わせをしており
オレは新開を待っていたメガネくんに声をかけ話をさせてもらっていた訳なのだが。

新開が来ることを失念していた訳ではないが迂闊な事を口にしてしまったのは反省している。

メガネくんに好感を抱いたのはあくまで人間としてであって恋愛感情ではない。
目の前の、そこそこの付き合いだというのに初めて視た新開の幼子のように柔らかい表情など
俺には浮かべられんだろうからな。メガネくんのことでは。

会合の中で、オレは新開に感謝された。不本意だが。

「尽八のスタンドプレイのお陰で思いがけず坂道くんの本音が聴けたのは有り難いよ。
彼、あんまり自分の思ってること口に出してくれないからさ」
嬉しそうな声で、だが聞き捨てならない事を言う。
「オレにだけ黙っていたのはわざとか」
「尽八だけにじゃないさ。
オレが教えたのは寿一と靖友にだけだよ。
後輩には、まあおいおいかな」
「真波には早めに教えてやれよ」
「いやあ。けど、ライバルに恋人がいるいないって関係なくないか?」
「その恋人が自分の先輩なら関係ありまくりだろうが。」
「自転車には関係ないだろう?」
「ならおまえの弟にはどうだ。」
「そりゃまあ、言うつもりはあるけど。
長くロードの勝負の世界に身を置いてたら坂道くんみたいな子って稀有なんだよ。
自分のも他人のも名声にこだわらず
だから多分悠人も……
しかも直接対決したからね。羨ましいことに。
もしかしたらオレよりも彼の本質を理解しているかも知れない」
新開はロードレースの世界では有名人だ。オレほどではないが。
だからといってロードの世界をまるで知らない相手とは付き合う気はなかったのだろう。

「ロードが恋人だったおまえには理想の相手なのだな、メガネくんは」
「最初はそんなこと思いもしてなかったけどな。
危なっかしくてつい手を貸してみたら、深みにハマっちまっただけさ」
馴れ初め話など興味がないこともなくなくはないが。

「おまえが倖せでメガネくんも倖せだというのならオレが口出すことは何もないな」

新開はオレの言葉に
「ありがとさん、尽八」
とはにかんだ。
友人が色恋沙汰で一喜一憂する様を見るのはなんというか面映ゆい。

「しかし、メガネくんならば恋人になったおまえのことをどこまでも肯定しまくりそうだな。
巻ちゃんに対してしていたように。
聴いているこっちが驚くほど巻ちゃんの全てを良いようにとらえていたからな!」
「へぇ。
オレは実際に坂道くんが裕介くんを褒めてるのを聴いたことはないんだけど、
そこまでなのか?」
「うむ! 心酔しているのが肌でも感じられる程だな!
巻ちゃんに頼まれたらメガネくんはどんなことにも応じそうな勢いだった!」
「へぇ……」

空気が変わった。
温度が下がった。
新開の眸の色が紅く染まり、
直接目にする機会は今までなかったが、なるほどこれが噂に聞く直線鬼。
いやだが今はレースの最中ではないぞ何事だ。

「我ながら心が狭いとは思うけど、今の話を聞いて妬かない方が恋人としておかしいよな?」
同意を求められ、
「そ、そうだなっ?」
反射的に頷いたが声がひっくり返ってしまった。

「打倒裕介くんか……手強いな」
「何を張り合おうとしているのだっ?!」
「大丈夫さ。坂道くんを傷つけるような事は絶対にしない。
ただオレもどんな要求にも応えて貰えるぐらいメロメロのでろでろに惚れられたい」
「い、いや、あれは言葉のあやで?
そもそも巻ちゃんはメガネくんに無理強いするようなことはしないだろうし」
いやメガネくんは果たして巻ちゃんの要求を無茶だと思うことはあるのだろうかあるのだろうけど何故か想像できない。
「わかってるさ」
本当にわかっているのかはなはだ疑問なのだが?
それはオレも同じか。

不穏な空気に痺れを切らしたのか傍で話を聴いていたらしい荒北が口を開いた。
「東堂ォ。オマエのあの口上考え直した方がいいんじゃナァイ?
特にトークが切れるってとこォ」
「言うな荒北これでも反省している」
反論できないぐらいには。

しかしそこに包容力の塊のような男が口を挟んできた。

「いーんじゃねぇか?
小野田は求められれば求められるほどそれに応えようとする性分の男だからな。
存分に甘えっちまえ」
田所は豪快にがはは、と笑うが。
「それはそれで心配なんだけどォ」
レースの話だよなそれは。
根本は変わらないのか。いや変わるだろう。さすがに。
「ああ。そんなことを聴いてしまったら逆に甘やかしてしまいたくなるな」
荒北は眉を潜め、
新開はというとお互いに頭を下げ合うフクとメガネくん、そしてそれを温かく見守る金城の方に視線を向けて目を細めた。
あれはおそらく新開をよろしく頼むいえいえこちらこそ的なやりとりをしているのだろうな。
成程荒北がフクとメガネくんが似ていると言っていたのに頷けないこともない。
不思議なぐらい微笑ましい光景だ。

「そもそも小野田は普通に接してるだけで勝手に相手の良いとこ見つけるようなヤツだしな。」

「成程巻ちゃんはそれでなつかれたのか。」
到底コミュニケーションが巧いとは言えない巻ちゃんが何故あれほど慕われているか疑問だったが
メガネくんの方に理由があったのだな。
いや巻ちゃんはオレのライバルだけあって悪い男では決してないのだが。
第一印象はあまり良くないタイプだ。
笑いかたは下手だし。
去年のインターハイ優勝の場では、まあ自然に? それなりに? 笑えていたようだが。

「一緒にいる期間が長ければ長いほど惚れ直されるんじゃないか? 新開なら」
「信頼が重いよ迅くん」
「裏切ってくれるなよ新開」
がしっと手を合わせる。

ふと視線を感じて見てみれば、メガネくんが二人を視て嬉しそうに笑っていた。
父親と恋人が仲良くて嬉しい的な。
あれこれ家族会議かなんかだったか?

メガネくんは宣言通りどんな噂が流れても昔あったあれやこれやを聴いても新開を信じ抜いていたが
新開の方はというと意外と独占欲が強かったらしく度度道の上でもないのに直線鬼が現れていたらしい。

それでも巧くやっているようだし末永く倖せになればいいと願う。

……新開に、
「尽八、おまえさんはも少し考えてからものを喋った方がいいぞ」
と釘を刺されたが。
仕方がないだろう自分が知ってるあれやこれやは話したくなるものなのだ。
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