感想&突発小話

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切原×菊丸の夏に出した本のアナザーヴァージョン。
柳がけしかける版。
つか柳と菊丸の会話。

++++++++++++++++++++++++++++++++



「ヒャーッヒャッヒャッ」

コートに悪魔じみた笑い声が谺する。
その声の主は、菊丸が惚れてしまった人物。

暴力的なテニスは苦手。
だから、目の前で繰り広げられる地獄絵図、
チームメイトが打球を受けてぼろぼろになっていく姿に、
菊丸の胸が痛む。
わざと躰を狙って打つ。
その事はルール上反則ではないのだとしても。

それをしているのが
瞳のみならず髪の色も肌の色もいつもとまるで違う、
恋人、
と言っても良い関係の相手で。
コートから、視線をそらす事も出来ない。

超人的な中学テニスの全国大会が終わり、
辛くも団体戦を制したのは、
菊丸が所属する青春学園だった。
菊丸は、自分が複雑な、
どう消化すれば良いのか判別つかない想いを抱えている事に気付いていた。
切原への想いは揺るがない。
揺るがないからこそ余計に―…


大会終了翌日。
激闘の後だから躰を休めるように、と
青学テニス部のメンバーは顧問から自宅療養の通達を受けた。
決勝戦のみならず全国大会の試合はどれも激戦で、
優勝の立役者である越前も、
今は回復しているようなものの
一時的な記憶喪失に陥っていたので
念のための検査も必要であろうし
適切な判断だと、
アグレッシブが持ち味の菊丸もおとなしく家でのんびりしていた。
さすがに「同調」などという芸当をして
躰よりも頭、脳味噌が疲れたような気がしていたので。
なにせ性格の上では反対方向を向いている二人が
意識を共有したみたいなものだ。
疲れて当然、だと思われる。

「時間はあるか」
そんな菊丸の家を訪れたのは
決勝戦で切原のダブルスパートナーを務めた柳だった。
菊丸と切原が付き合うきっかけをお膳立てした
―それはおそらく優しさなどからではなく、
己の好奇心を満たすがための行動だっただろうが―
数少ない、菊丸が切原について相談できる人物。
それほど近くもない距離を、わざわざ逢いにきた理由は、
顔を合わせて直ぐの彼の言葉でわかった。

どこか静かな場所で、との柳の希望により
近所にある、こじんまりとした公園に移動する。
まだ暑い夏の真っ只中。
少しでも涼しい場所で、と、
枝を伸ばし厚く葉を重ねた木陰の下で向かい合う。
暑さを感じさせない涼やかな表情で、柳は菊丸を見下ろした。

「赤也を諦めないでやってくれないか」

「…諦める?」

とっさには意味が分からず、鸚鵡返しをしてしまう。
諦める? 何を?
わかっている。切原のプレイスタイルをだ。
諦める。ただなぜその単語がでてくるのかが分からない。
諦めるもなにも、自分が切原を嫌いになることはない。
全てを受け入れ全てを好きだと思う。
そこに諦めなどという単語が入り込む余地はないはずだ。
菊丸は以前切原に
「嫌いになったりはしない」、「敵にはならない」と宣言した。
今回のあの試合も、その宣言を覆したいとは思ったりはしなかった。

「嫌いにならない、ではなく嫌いになれない、だろう」
「何が違うんだよ」
「能動と受動の違いのようなもの、か」
「…国語で聞いたことがあるような単語だけど、どーゆーこと?」
「簡単に言えば
ならない、は自分の意思で決めているが
なれない、はそうしたい気持ちがあるのにそうできない、と言うことだな。
菊丸、お前は悪魔…いや、赤目の赤也を嫌いだと
以前言っていた筈だろう。
対象を俺達立海という大枠に擦りかえていたが。
その気持ちを押し隠し、受け入れる振りをして赤也を見捨てるつもりなのか。」
立海の参謀でありダブルスの達人であり
幼き頃、「博士」をデータテニスに導いた「教授」は、淀みなく言葉を紡ぐ。
だがそれは、菊丸にしてみれば身勝手極まりない言い分に思えた。

「自分達で切原をあんなふうにしておいてなんで俺にそんなことっ、
柳が、立海の皆が、
切原を悪魔に覚醒させたんだろ?!」
「そうせざるをえなかった」
責めるような菊丸の言葉に、柳は澄んだ泉のような静かな響きで応えた。
その様子に、菊丸も落ち着きを取り戻す。
柳はおそらく、あの立海の中で一番―もしかしたら唯一、
切原に懸念を抱き、先行を案じている、
切原と、そして菊丸の味方なのだと言うことを、
その様子で感じとる事が出来た。

「赤也が一年生で、テニス部に入ってきた時、
俺達三人がコテンパンに負かした、という話は聞いているか」
「うん…だから切原、
三人を絶対倒してやる、って意気込んでたけど」
果たして現3年生が引退する前にその機会は持てるのだろうか。
「来年の立海を率いる人間だ。
そのぐらいの気概がなくてはな。
一年の…入部したての時からそうだった。
だから幸村は目をかけ―
本気を出した」
「…本気?」
「無論俺とて手加減はしない。
弦一郎も器用ではないから全力で打ちのめした。
だが幸村の本気は…
お前も観ただろう。昨日の試合での越前の様子を」
「…あれを」
「ああ」
ざわり、と一瞬だけ強く吹き抜けた風が頭上の葉を揺らした。
気持ち良い筈のそれは菊丸の背筋に冷たい汗を伝い流させた。

全国大会決勝戦、シングルス1。
あの試合の幸村の技、力はまさに「神の子」の異名の体現そのものだった。
中学生の中で、越前以外の誰が幸村に勝つことが出来るのだろう。
はたで観ていただけでも絶望感が伝わってきたというのに。
時間稼ぎのため、先に四天宝寺の超一年生・遠山が相手を努めたが、
他の相手との戦いでは、天真爛漫にテニスを楽しんでいた彼でさえ
心が折れたようだった。
ましてや、切原が対峙したのは中学生になりたての頃で、
初めてぶち当たった三枚の壁の内の一人が、
そんな戦い方をするなど思いも寄らなかったに違いない。

「幸村、
自分とこの見所のある一年生を潰すつもりだったの?」
「潰れなかっただろう?」
「…それは、柳のデータ通り?」
「そうだな。まずいと感じたら止めていただろう。
そして―あれ以降赤也のプレイスタイルが変わった」
「…え」
「もともと荒いテニスをしていたが、
より一層、
勝つためには相手を潰すのが一番の近道だと思うようになってしまったようだ。
俺達が一年以上是正させなかった事をお前に押し付けるのは心苦しいが」
「それって…」

俺達が、ではなく俺が、ではないのかと思ったが
菊丸は口にはしなかった。
柳はあくまで個人としてではなく立海の一員として
エースの行く末を案じているスタンスを崩そうとしない。
そうする理由はわからなかった。
柳が切原を可愛がっている事は、菊丸とて知っている。
その事を隠そうとする事こそが、
もっと深い想いがあるのではないかと邪推させてしまうのだが。
切原は以前柳と菊丸の仲を疑っていたが、
菊丸にしてみれば、決勝戦のダブルスの事もあり、
切原と柳の方がよっぽど怪しいのではないかと思う。

菊丸は微かに芽生えた嫉妬を黙殺し、
柳の言葉を噛み締める。

幸村との試合が引き金だったのだとしても、
プレイスタイルの核となる部分は切原が最初から持っていたのではないだろうか。
そんな菊丸の考えを読んだかのように、
柳は軽く頷いた。
「素質がどうあれ、周囲が止めたり自分から変わったりすることが可能であると、
お前のところの海堂や不動峰の橘を見ればわかるだろう。
周囲が尽力すれば道を正すことは出来る。
だが俺達は赤也を短時間でステップアップさせられる道を選んだ。
全国大会での三連覇のために、
…お前が傷付くのを承知の上で。」
「…やなぎ」
最後の言葉に、菊丸は驚く。
片隅でも、自分のことを思い遣った逡巡があった事に。
試合中の柳は、同じチームの仁王が零すほどに、
怖いほど冷静沈着に見えるのに。
元ダブルスパートナーである乾に対する態度は、
真意はどうあれ絶対零度の冷たさを感じさせるのに。
いや。切原と菊丸の仲を心配して遠路やって来るくらいだ。
冷たいだけの人間では、あるはずが全くない。

「…俺はどんな切原でも」
「嘘をついていてはなんの解決にもならないぞ。
お前も、赤也にも」
「嘘なんて」
「ならばなぜそんな表情をする」
「そんな表情、って」
「無自覚か。」

まあ良い。ならば違う方向から攻めるまで。
口には出さず、柳は話の流れの持って行き方を計算する。
ことこの話題に関しては真実以外を口にしないようにしている。
データに基づく憶測であっても、確率の高いもの以外は除外する。
だから、今から告げるのは高確率の真実だ。

「お前が赤也の味方であるなら、
赤也が望むテニスに導いてやって欲しい」
「…切原が、望む?
あの、悪魔の姿が切原がなりたかったもの、なんじゃ」
「赤目までは気分が高揚し、昂奮する事により自分で変化できるようだが
悪魔は相手からの打球を躯に受けた上で、
あるキーワードを耳にする事により変わるものだ。
この先はわからないが、今の段階ではな。」
「キーワード?」
「他の挑発の言葉でも反応するかも知れないが、
赤也は自分の髪の毛にコンプレックスがあるらしく
『このワカメ野郎』と―」
「っ」
「……。」
口許を押さえる菊丸に柳は思わずうっすらと瞳を開く。
「…笑うところか」
「ご、ごめ…っ」
顔を赤くしながらふるふる震える菊丸に、柳も思わず笑みを浮かべる。
「俺に謝られてもな」
「俺としてはあの髪型も切原の魅力の一つだと思ってるんだけど…
切原、可愛い。」
「……そうだな」
そうか。「可愛い」か。
真面目な話をしていた筈なのだが。
菊丸にかかればこうなるのか。
その内悪魔すら可愛いと言い出しかねない。
もしかしたら本当に
切原のなにもかもを認め、受け止め、好きになるのかも知れない。
暴力的な行為が、自分だけに向かうならば許容してしまいそうだ。
菊丸が悪魔赤也を嫌い、哀しむ最大の理由は、
その暴力が自分以外に向いているからだろう。
それはともかく。

「赤也はお前のプレイスタイルに憧れている。
それは、今の赤也の到達点である悪魔とは正反対だろう」
菊丸本人に興味を抱いたのもそれが多分最初の一歩。
プレイスタイル―いや。より正確に言うならばコート上での彼が纏う空気に、
とでも言うべきか―に憧れ、惹かれ、恋に変わったのは、
柳に対する嫉妬に後押しされた部分が多少なりともあったかもしれないが。

「悪魔になればスピードを初めとする身体能力が上がる。
だが自分でコントロール出来なくては意味がないだろう。
赤也が自ら悪魔化出来るようになる道を選ぶか他の道を選ぶかわからないが
個人的には―」
どちらの道も切原一人では切り開けないだろう。
悪魔への道は自分達―主に柳がデータに基づいた戦略を立て
立海三年生レギュラー総掛かりで歩ませた道だ。
一度覚醒してしまえば後はなし崩し、というわけでもどうやらない。
自分達が引退した後でその道を歩き続けるのはむしろ難しいだろう。

そう、むしろこれから先も菊丸と共に過ごすのであれば。
「…どちらにしろ、一度赤也とテニスをしてみてくれないか。
結論も決断もその後でも遅くはない筈だ」
それでおそらく切原は方向性を決める。

「…前からちょっと思ってたけど
柳って俺を買い被り過ぎじゃないかなー」
「過小評価なぐらいだと思うが」
「俺が切原を
切原が本当になりたいと望んでるテニスに導くなんて大それたこと
出来るなんて本気で思ってんの?」
「思っているが?」
「何を根拠にそんな」
尻込みしている菊丸に、柳は密やかに薄くと瞳を開き微笑んで、
俺が採ったデータではないが。と前置きをした。
「歴史を紐解くに。
いつの世も想いの力は強いもののようだからな」
特に。
「…恋愛の奇跡は理屈ではないようだしな?」

「ーっ!!」
その言葉に、瞬間菊丸は顔を赤く染める。
肯定も否定もしづらい言われ方で、
でも柳の真剣な想いは今までの会話で充分にわかった。

「わかった。取り合えずは切原とテニスしてみるよ。
でも俺はあくまで切原の考えを優先するかんな」
「構わない。
宜しく頼む」
「頼まれとく」
そう言って菊丸は、真夏の太陽のように笑った。


「でも柳、俺が切原を嫌いにならないってのには自信があるよ。
なれない、んじゃなくて」
「ほう?何故」
「俺が切原に深く興味を持ったのは、
柳を打とうとした真田の平手を止めた時。
切原はその後の試合で不二にヒドイ事したじゃん。」
「…そういえば、そうだったか」



+++++++++++++++++++++++++++++++++

無理くり説明つけるのが大好きです。自称こじつけ大魔王です。
「神の子」が「悪魔」を作り出した、とかそういう話です。
幸村のあのプレイスタイルはいつからか知りませんけど?
入院&手術後ではないよね。前から「神の子」言われてたみたいだし。
切原が負けた順番は柳→真田→幸村だと思うんだけどどうだろう。
逆かなあ?

柳と菊丸の思考をフォローしてたらたやたら長い。
えー、切原対菊丸のテニス対決に続く…?のか?
柳は切原の保護者ポジションだといい。
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